2011年(4~6月)の中国商標ニュースです。

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「宅急送」、商標未登録で権利侵害の苦境に

2011年6月20日 出所:中国知識産権報

 

 中国速達民間企業の宅急送は1994年に設立されて以来、すでに中国で2000余りの市・町で拠点を置いている。近頃、この宅急送は、華東地域では宅急送を偽った企業が23社あり、その中、19社が宅急送の標識、専用の写真やウェブページを盗み取っていると、自分のウェブサイトで発表した。
 これら19社の大部分はそれぞれのウェブサイトで、図形商標として登録された宅急送の猿図や、「400」で始まるフリーダイヤルの電話番号までも掲載している。一見したところ、宅急送のウェブサイトとまったく同じように見えるが、綿密にチェックすると、電話番号が違ったり、サービス内容が異なることがわかる。
 このような権利侵害問題について、宅急送の関係者は、「宅急送」が商標として登録されていないからだと述べる。

実例から考える中国商標審判基準

実例一 複数の区分に跨る著名商標の保護、「誤認可能性」を原則

2011年6月2日 出所:中国知識産権報

 

 近頃、北京市第二中級人民裁判所は商標法と商標法実施条例に基づき、著名商標「卡迪亜」を権利侵害する事件について、指定商品がジュエリー、宝石、時計などで、商標局から著名商標と認定された「Cartier」と「卡迪亜」両商標の専用権を原告のカルティエが所有し、被告の仏山市依諾陶磁有限公司が生産し、かつそのウェブサイトと営業場所で大量に使用した「卡迪亜系列」というブランド名のセラミックタイルは、原告の製品と比べ類似商品にならないが、「Cartier」と「卡迪亜」は造語として顕著性があり、この両商標と類似する標識をセラミックタイルに使用すれば、関連大衆の注目を引き、カルティエ又はその関連会社の製品と誤認させ、両商標の顕著性を低減させ、原告の利益を損害する可能性があると見て、被告に対し、直ちに権利侵害行為を停止して、損害額1万元と合理的な費用1000元を賠償するよう判決した。
 出所表示機能と宣伝広告機能を有する著名商標の権利保護において、「誤認」を理由に商標準所有権(quasi-property)を保護することができれば、「希薄化」を理由に商標所有権(property)を保護することもできる。要するに、権利侵害の認定基準としては、「希薄化」と「誤認可能性」とが並立すると、同裁判所の判決から伺える。

 

実例二 「類似商品・役務区分表」、類似判断で唯一の基準ではない

2011年5月26日 出所:中国知識産権報

 

 近頃、ユサナ ヘルス サイエンスに係わる商標拒絶査定不服審判が8年にわたってやっと終了した。北京市第一中級人民裁判所が商標評審委員会に改めて審理するよう判決したのである。注目点は商品・役務の類似を判断する時に、「類似商品・役務区分表」を唯一の基準にするかどうかである。
8年前の2003年4月、ユサナが商標局に「USANA HEALTH SCIENCES」(指定商品は「ビタミン剤、人間用薬剤、医療用栄養性食物、医療用食物栄養製剤、鉱物食品添加剤」などである)を商標として登録出願した。これを受けて、商標局は2004年11月に、出願商標に先行商標「優施納 USANA」、即ち引用商標(指定商品は「薬草茶、乳児食品」などである)と類似していることを理由に、登録出願を拒絶した。その後、ユサナが不服し、商標評審委員会に復審を求めた。2009年5月、同委員会が両商標は指定商品が類似する類似商標だと決定した。
 またユサナが不服し、北京市第一中級人民裁判所に提訴した。第一中級人民裁判所は、引用商標の指定商品の中の「薬草茶」と出願商標の指定商品の中の「ビタミン剤、人間用薬剤」、及び引用商標の指定商品の中の「乳児食品」と出願商標の指定商品の中の「医療用栄養性食物、医療用食物栄養製剤、鉱物食品添加剤」が「類似商品・役務区分表」により類似群に属するが、商品・役務の類似を判断するには、商品の機能、用途、生産者、販売ルート、消費者などで同一又は大きな関連性があるかを判明するのが必要で、両商標の指定商品が機能、用途、生産者、販売ルート、消費者などで明らかに異なっているから、類似商品に当たらないというように認定した。
 これで分かるように、商品・役務区分表は商品・役務の類似を判断する時に、参考資料として利用されるが、唯一の基準ではない。

USANA

 

実例三 来料加工も商標の使用と認定

2011年6月14日 出所:中国知識産権報

 

 3年連続で使用されない商標であるかどうか判断する時に、商標権利者が来料加工という方式で使用した場合、商標法上の使用行為に当たるのか。この問題は、商標権利者特に海外加工貿易に携わる商標権利者の注目を集めてきている。北京市高級人民裁判所が審理した商標関連事件で、来料加工による使用を商標の使用方式の1つとして認定している。
 温克勒国際有限公司が宏比福比公司に対し、商標「SCALEXTRIC」は1998年4月3日から2001年4月2日の3年間で使用されていないことを理由に、商標局に当該商標の取り消しを求めた。これを受け、商標局は2003年1月27日に取り消しと決定した。この決定に不服し、宏比福比公司が商標評審委員会に復審を求めた。同委員会は、2009年3月に提出した証拠では3年内の使用を証明できないことを理由に、維持すると決定した。また、宏比福比公司が不服し、行政訴訟を提起した。訴訟期間中、宏比福比公司が3年の間で輸入した「SCALEXTRIC」関連の部品を完成品に組み立てて、「SCALEXTRIC」ブランドの玩具をイギリスに輸出しているという事実を示す証拠を提出した。
 こうした事実を踏まえて、北京市高級人民裁判所は、商標の使用とは商品、商品の包装物、包装容器、関連文書、広告宣伝、展覧その他ビジネス関連活動で使用することを指し、使用行為があるかどうか判断する時に、商標資源の浪費を防止する一方、登録商標の軽率な取り消しによる商標権利者への合法権益の損害を防止すべきだと説明し、宏比福比公司の提出した一連の有効な証拠は3年内の使用を証明でき、来料加工の方式で生産する玩具は中国市場で売れていないが、同商標の使用に該当すると判決した。

 

 

広東高裁、中国初の立体商標紛争を判決

2011年04月07日 出所「中新社」

 

 スイスのネスレ社は近頃、中国で多くの訴訟を起こして数社の醤油会社を上告し、その中開平味事達調味品公司との紛争は業界で「中国初の立体商標紛争」とされている。広東最高裁判所が二審において、紛争対象の登録商標は中国で顕著性が小さく、味事達公司は製品表示ではなくただ方形ボトルを包装物に使用しただけで、ネスレ社と関係があると消費者に誤認させることはないとして、ネスレ社の上訴を却下した。

 

  「登録された商標は当然顕著性を有する」というネスレの主張に対して、広東高裁知的財産権廷の裁判官が、請求対象の商標は顕著性があるから登録されたのだが、顕著性には強いものと弱いものがある他、商標権に地域性があり、知名度を判定する時に中国国内だけを範囲とし、国外で有名になっていても、中国で知名度が高くない場合は承認しなく、また「ネスレ」商標は三次元標識として商品の容器に使用され、その登録前にすでに中国で多くの醤油会社に包装物に使用されているので、「食用調味料」での顕著性が小さいと説明した。
 さらに裁判所が、ネスレ社は商標の知名度を証明するために提供した証拠の多くが国外に関わる証拠である反面、味事達公司は中国でその登録前に大量に使用した証拠を提出したと強調した。


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