2015年(10~12月)の中国商標ニュースです。

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商標の「並存契約」について

出所:中国知識産権報/中国知識産権資訊網(2015/11/19)

商標登録出願を却下され、法院提訴へ

世界中で知られているる調味料ブランド「クノール」(KNORR)の中国商標に関する事案である。

経緯

 2013年、「クノール」ブランドの所有者であるスイスのKnorr Naehrmittel社(以下、「Naehrmittel社」)は、第41類について「KNORR SUSTAINABILITY PARTNERSHIP」という商標(以下、「係争商標」)を出願したが、商標局から却下された。
 Naehrmittel社は直ちに商標評審委員会に審判を申し立てたところ、商標評審委員会は係争商標がグーグル社の「KNOL」商標(以下、「引例商標」)と近似しており、社会公衆の混同を招きかねないとして、却下決定を下した。
 その後、Naehrmittel社は商標評審委員会を相手取って法院に提訴し、以下のような理由を挙げて、商標評審委員会の決定に誤りがあると主張した。

  1. 係争商標は図形商標であるが、引例商標は単なるアルファベットで構成されている。両者は構成要素、外観効果において明らかな相違がある。
  2. 係争商標における単語である「Knorr」の語尾が「rr」であるにもかかわらず、「ll」と認定されている。
  3. 引例商標権者のグーグル社は自ら、二商標で混同を招くとは考えず、Naehrmittel社による係争商標の使用を認めると共に、当該商標問題について紛争を一切起こさないことを承諾した「同意書」を無償で発行した。

    引例商標はグーグル社がknolウェブサイトの管理運営に用いたものであったが、同サイトは2011年に閉鎖されており、今後再開される見通しもない。よって、係争商標を引例商標と同一の役務類別において登録しても、社会公衆の混同を招くことはない。

 法廷審理において、商標評審委員会はその決定書に記載する意見を堅持し、Naehrmittel社のすべての訴訟請求を却下するよう法院に求めた。

「商標並存契約」によって転機があるか

 商標権者の同意書は「商標並存契約」とも呼ばれ、先の商標権者が発行した、他人が後に同一または近似する商標を同一または類似する商品について登録・使用することを認める意思を表す書面である。
 中華商標協会専門家委員会の董葆霖主任の話によると、同意書制度は一部の外国の商標審査機関に導入されているが、中国の商標行政機関は同制度を認めていない。現在の一般的な対処法として、後の近似商標出願者と先の商標権者が協議して共同所有を申請することができるが、後の出願者にとっては公平とはいえない。

 

 北京市永新知財弁護士事務所の傅鳳喜シニアパートナーは、次のように分析する。

  • 実務では、司法機関の『商標並存契約』に対する認可度は高まりつつある。法院は、商標法が定めるのは私権分野であると考えているため、行政機関よりもこのような契約を受け入れやすい傾向にある。
  • 2007年の商標評審委員会の委員会業務会議においては、次のようなことで合意した。当事者間の商標並存契約を完全無視することが必ずしも合理的とはいえない。登録を認めるか否かは、主に三つの要素を判断基準にする。
  •   ①双方の商標が使用される商品はどこまで類似するか。
      ②双方の商標はどこまで近似するか。
      ③双方の商標の知名度。
      (理論上、上記3指標が高ければ高いほど、近似商標の登録確率が低くなる。)

 また、ディッカーズ社と商標評審委員会との行政紛争事件においては、「商標並存契約」の存在によって、北京市高級人民法院が商標評審委員会の決定を取消す旨の判決を下している。
 法院は次のように判断した。
 出願商標の「UGG」は引例商標の「UCG」と近似しているが、引例商標の保有者であるウニクレーディト・イタリアーノは「同意書」を発行して、出願商標の登録と使用を認める意思を示した。そのため、「同意書」により消費者の利益を損なう可能性があることを証明する証拠がない限り、「同意書」を尊重すべきであり、出願商標の登録を認めるべきである。

 

 「一方、同意書さえあれば、法院は必ず出願商標の登録を支持すると考えてはならない。(2013)高行終字第281号行政判決書において、北京市高級人民法院は、出願番号7358249の図形商標の登録を認めれば公共の利益を損ない、社会公共の資源を不正に独占することになるとして、控訴を却下し、商標評審委員会による却下決定を支持した。」と傅鳳喜氏は補足している。

国家工商行政管理総局 商標代理機関信用ファイルを構築

出所:中国知的財産資迅網(2015/10/18)

 

 2015年中国商標年会によると、国家工商行政管理総局が近々「商標代理信用情報管理暫定弁法」を制定・発布し、商標代理機関信用情報ファイルを構築するという。
 国家工商行政管理総局は、商標代理機関の信用構築を強化し、商標代理信用管理をよりいっそう強化し、商標代理機関と商標代理人が自らの信頼向上を促進するために、「商標代理信用情報管理暫定弁法」を制定・発布する見通しである。同弁法の制定・発布により、商標代理機関の信用情報ファイルの構築、商標代理信用情報体系の健全化、商標代理機関の信用情報と関連代理情報の届出・公開、商標代理機関の信用管理の強化、社会による監督の拡大、商標代理機関による自主的な代理行為規範化の指導、そして商標ブランドの発展に有利な環境づくりが期待できる。
 さらに、国家工商行政管理総局は、商標ブランド信用管理制度を段階的に構築・健全化して、企業情報の公開に結び付け、商標の抜駆け登録行為、違法使用と侵害行為などの情報を信用失墜ファイルに記録し、懲罰を強化し、信用失墜による被害額を引き上げ、誠実な経営と公平な競争を促進する。商標権の確認・擁護業務において、誠実な信用の原則に反する商標出願と使用行為を厳しく摘発し、良好な商標登録と秩序ある使用を維持し、企業の商標専用権保護とブランド構築をサポートする。

中国の有効登録商標の総件数が1千万を突破

出所:中国新聞網(2015/10/14)

 

 2015年10月7日、中国の有効登録商標総件数は1004万件に達し、初めて1千万件を突破した。
 国家工商行政管理総局によると、全国にわたる商業制度の改革に伴って、市場主体数が大幅に伸びており、企業の自主的革新の活力は増す一方である。大規模な企業新設は、商標登録出願件数の大幅増加につながる。今年の9月末までは、商標登録出願件数が同期比36.62%増の211.5万件に達した。中国の商標累計出願件数は1,764.17万件、累計登録件数は1,176.29万件で、13年連続で世界1位を占めている。
 一方、中国は間違いなく商標大国になっており、商標ブランドの価値も競争力も向上しているが、世界第2位の経済実体という地位に対し、必ずしもつり合いが取れていないほか、商標が経済促進や企業発展促進に果たした役割はまだまだ十分とは言えず、商標権益への保護もよりさらに強化する必要があり、商標ブランド強国とはまだ程遠いという分析もある。
 国家工商行政管理総局は、引き続き商標審査体制改革を深化させ、商標審査の長期的に有効な業務遂行体制を構築し、登録審査の効率を確実に高め、商標登録の利便化を出来る限り実現し、商標ブランド戦略の実施を深く推進し、商標ブランドの経済発展への引率牽引作用を十分に発揮させ、革新的な発展を推進し、市場活力を引き出し、中国ブランドの国際化を促進すると表明した。
 2014年5月1日、改正商標法が正式施行することになった。改正商標法は、商標登録と審査の手続を簡潔化し、商標出願者による商標登録に便宜を図り、商標登録管理部門による職能転換や優れた公共サービス提供にも法的根拠を提供した。国家工商行政管理総局は積極的に商標登録簡潔化を推進し、商標の平均審査所要時間を9ヶ月以内に短縮して、「大衆の創業・大衆の革新」のためにブランドの優れた発展環境を作り上げている。

商標登録受理費用の徴収基準下方修正についての通知

出所:商標局(2015/10/09) 

 

「国家発展・改革委員会、財政部 住宅譲渡手数料・商標登録受理費用など一部の行政事業的費用の徴収基準の下方修正に関する通知(発改価格〔2015〕2136号)」の主旨に従って、2015年10月15日以降、商標局は商標登録受理費用を800元(指定商品10個以上の場合、1商品につき80元を追加徴収)から、600元指定商品10個以上の場合、1商品につき60元を追加徴収)まで下げる。

官庁費の修正に伴い、当社の中国商標登録出願の料金表も更新済みです。


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