2016年(7~9月)の中国商標ニュースです。

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商標登録出願をより便利に、工商総局が地方に出願受理業務を委託

商標登録の利便性を高めるべく今年に入ってからさまざまな改革案を出している中国だが、その一環として、9月1日より商標登録出願受理の地方への委託を開始した。これは同日より施行されている≪地方工商・市場監督管理部門に商標登録出願受理を委託することに係る暫定規定≫(以下、≪暫定規定≫)に基づく措置となる。
≪暫定規定≫によると、工商総局の認可を受けた県級以上の工商・市場監督管理部門が工商総局商標局の委託を受けるかたちで行政事務受付ホールに商標出願受理の窓口を置く。受理窓口は出願受付、費用徴収、商標登録出願書類の書類審査などを担当し、受理条件に適合する商標登録出願については出願日を確定する。また、商標登録証の代理発行や関連する照会・コンサルティングサービスも提供する予定だ。
こうした具体的措置は、工商総局が今年7月に公布した≪商標登録の利便化改革を全力で推進することに係る意見≫(以下、≪意見≫)を受けてのもの。≪意見≫ではオンライン出願の推進や審査期間の短縮などが改革内容として挙げられており、地方への登録商標専用権の質権登記申請受理地点設置など、既に実行に移されている内容もある。
近年、中国は行政手続の簡素化を急ピッチで進めているが、商標に関わる実務フローにも徐々に変化が生じそうだ。
(2016/9/23 A・U)

判断難しい「新しい商標」、テンセントが「QQ」メッセージ音の音商標拒絶査定について中国初の行政訴訟

2016年7月20日付の知産北京によると、北京知識産権法院(北京知的財産権裁判所)はこのほど、騰訊科技(深圳)有限公司(テンセント)が「滴滴滴滴滴滴」という音商標の拒絶査定に関する再審について国家工商行政管理総局商標評審委員会に対して起こした行政訴訟を受理した。
この案件は中国で音商標が商標登録の範囲に入ってから初の行政訴訟である。

 

2014年5月4日、テンセントは傘下のコミュニケーションアプリ「テンセントQQ」のメッセージ受信を伝える「滴滴滴滴滴滴(ディディディディディディ)」という音声を音商標として商標局に出願した。区分は、テレビ放送、新聞社、インターネットでのチャット提供、電子メール、情報伝送など第38類の10項目。しかし登録は拒絶査定され、テンセントは商標評審委員会に再審請求を行った。
2916年4月18日、商標評審委員会は拒絶査定を決定した。理由は、テンセントが提出した証拠は確かにQQのソフトウェアの知名度を証明するものであったが、出願した商標はソフトに含まれるある機能を表す音に過ぎず、商標出願した「滴滴滴滴滴滴(ディディディディディディ)」という音は、比較的簡単で、独創性に欠け、指定の区分で使用するには顕著な特徴に乏しく、サービスの出所を想起することが難しいというものである。

 

テンセントは不服を唱え、法定期間内に北京知識産権法院に行政訴訟を提起した。
テンセント曰く、同社は1998年創業の中国の著名なインターネットトータルサービスプロバイダーであり、傘下のテンセントQQは中国のインスタントメッセージソフトとして多くのユーザーを抱え、今回音商標として出願したメッセージ受信音は、聞けばすぐにテンセントQQのインスタントメッセージサービスだ、とピンと来るものだということ。「滴滴滴滴滴滴(ディディディディディディ)」は6つの音からなり、冗長すぎずシンプルすぎず、音商標としての顕著性を備え、サービスの出所を想起させることができ、また出願した商標は長期間使用しているため、知名度も顕著性も高く、皆が識別できる。拒絶査定は「独創性」を音商標の審査基準としており、法的根拠がないというのがテンセントの主張である。
ちなみに中国における音商標の審査基準(試行)を参照すると、音商標の審査基準とされているのは商標としての使用を禁じられていないか、顕著性を有しているか、近似していないか、という点であり、独創性については言及していない。また、顕著性に欠ける例として「簡単で普通の音調や旋律」を挙げているが、同時に「音商標は長期間使用されなければならず、それによりはじめて顕著性を得ることができる」とも明示しており、今回のテンセントの主張が完全に的外れとも言い難い。
案件は依然審理中であるが、商標局のサイトで照会すると、テンセントがこれ以外に出願した音商標についても現段階では登録に至っているものはなく、「新しい商標」の審査基準をクリアするには苦戦を強いられそうだ。
(2016/8/18 A・U)

知的財産権による資金調達を後押し。中国が7月から登録商標専用権質権登記を簡素化

中国は2016年7月1日から、全国25都市に登録商標専用権の質権登記申請受理地点を設け、手続きの簡素化試行を拡大することを決定した。
これは浙江省台州市での1年間の試行を経て本格的にスタートしたものであり、浙江省・安徽省・広東省など全国25都市の工商行政管理局に申請受理地点を設けるというもの。申請受理地点では受理・初期審査・登記証公布などを取扱い、料金は無料である。国家工商行政管理総局商標局に書類を送付するなどの従来の煩雑な手続きが不要となり、企業の融資コスト引き下げや行政サービス機能の向上が見込まれる。

 

2016年7月1日付の「央広網」によると、多くのブランドを擁し民営経済が発達している浙江省では、2009年に工商局と人民銀行杭州中心支行が共同で商標専用権の質権担保貸付の関連規定を制定しており、それ以降の7年間で、全省の商標登録は41.6万件から114.5万件に急増、登録企業数も61.5万社から144.6万社に増加した。また、2015年からは商標権の質権担保融資を推進する取り組みを更に強化し、融資額は40億元を突破している。

 

ちなみに日本では日本政策投資銀行が1995年から知的財産担保融資を開始し、評価方法の難しさなどがネックとなっているものの、近年では地方銀行や信用金庫なども積極的な姿勢をみせている。
スキーム構築などの研究が進む中、お隣り中国の動きも見逃せないところだ。
(2016/7/11 A・U)


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