著作物の権利者の皆さんは、以下のような疑問を抱えているかもしれません。
- 自分の著作権作品のキャラクター名称が中国において第三者により無断で商標に出願された場合、中国商標法の保護を受けらるのか?
- すべてのキャラクター名称が中国商標法の保護対象になるのか?
- 中国商標法の保護を得るために、証拠収集等において注意点があるのか?
1.判例解説
これらの質問を答える前に、まず判例を見ていただきたいと思います。
上海美術映画製作所により制作された「葫芦兄弟」が八十年代に上映されて以来、中国の超人気なドラマの一つになっており、そのヒーローとある「葫芦娃」は既に有名なキャラクター名称になりました。
最近、北京知的財産権裁判所はこのキャラクター名称「葫芦娃」を無断に商標(以下は「冒認商標」という)登録した案件数件を審理しました。結果として、これらの冒認商標はすべて上海美術映画製作所の先行権益を侵害したと認定され、冒認商標を無効すべきだという審決が下されました。
2.疑問解答
上記判例から分かったように、中国商標法の中で、有名な著作権作品のキャラクター名称は、「有名キャラクター名称権益」として、保護を受けることができます。
では、もし自分のキャラクター名称を第三者により無断で商標に出願された場合、商標法の保護を得るためには、どんな注意点があるのでしょうか?
- 有名度を証明できる証拠として、有名なキャラクター及び作品の受賞証明、広告宣伝資料等があります。
- たとえ受賞証明の日付が古くても、作品及び作品のキャラクター名称が昔から高い有名度と名声を持っていたことをを証明できるため、一括して提出すべきです。
- より近い時期で形成された証拠については、その証拠の形成日が冒認商標の出願日より早いものでなければなりません。
3.まとめ
総じて言えば、有名なキャラクター名称を無償に利用し大きな経済的利益を獲得したいために、それを無断に商標として出願された案件が次々と現れるという現状の中では、当該名称の所有人は、不正利用により経済的、名声的に多大の損失を蒙ることを避けるべく、積極的にその保護を重視すべきです。
また、前述のように、「有名キャラクター名称権益」を権利ベースとする案件の中で、関連証拠の収集と提出が重要です。
(北京恵利爾商標代理有限責任公司)