FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022の開催が、世界中で注目されており、その公式マスコット「ライーブ(La’eeb)」も、開会式に登場して以来話題となり、人気を集めています。

中国国家知的財産権局商標局は、2022年12月2日付で「ワールドカップ」、「ライーブ」など、W杯に関する冒認出願を取り締まるための通達を発表しました。

当該通達によって、商標局は『商標法』第十条などの規定に基づき、第66999855号「世界杯」(W杯)、第63803887号「LAEEB」など、計26件の出願を却下しました。

また、『商標法』第四十四条の規定に基づき、職権により第63767652号登録「LAEEBS」に対して無効を宣告しました。

ホットトピックス等に関する商標の冒認出願

ホットトピックス等に関する商標の冒認出願は、よく見かけることであり、特にW杯やオリンピックのような世界レベルのスポーツ大会中に注目が集まる公式マスコットや有名なスポーツ選手の姓名等が冒認出願の対象になりがちです。

例えば、2019年以来、北京冬季五輪の公式マスコット「ビンドゥンドゥン」に関する商標出願は170件以上にものぼりましたが、北京2022年冬季五輪と冬季パラリンピック組織委員会が出願したもの以外、全部却下されました。2018年ロシアW杯の公式マスコット「ザビワカ」に関する商標出願も十数件ありましたが、いずれも登録できませんでした。

W杯、オリンピック等に関する冒認出願が多発する原因

W杯、オリンピック等に関する冒認出願が多発する原因は、このような標識には元々多大な国際的価値と知名度を有しており、一旦登録できれば、広告宣伝と市場開拓の費用を節約できるほか、ブランド自体の高知名度と影響力を利用し、自らの製品またはサービスのプロモーションを行うことができるからです。

ここ数年、悪意のある出願を断固として認めないよう、取り締まりを実施

ここ数年、商標局は盛大なスポーツ大会等の知的財産権の保護を重視し、悪意のある出願を断固として認めないよう、取り締まりを実施しています。

このような他人商標の高知名度にただ乗りする出願は、悪意出願に認定される可能性が非常に高いです。悪意出願に認定されると、商標局は『商標法』第四条「使用を目的としない悪意のある商標登録出願は拒絶しなければならない」、または、第十条「社会主義の道徳、風習を害し、又はその他悪影響及ぼすもの」との理由で却下することが一般的です。

『商標法』の関連規定に違反するため、プラクティス上では、このような悪意出願が登録できる確率が極めて低いです。

たとえ出願人が不正手段を使って登録させたとしても、商標局として、「国家、社会の公共利益を損なう」という理由で、職権により自主的に無効を宣告することができます。

まとめ

中国商標局は信義誠実の原則に違反した悪意のある出願を厳しく規制しつつあります。悪意のある出願の出願人及びその商標代理機構に対しても、法に則って処罰を科すことで、違法に対するコストを高めるようにしており、このような悪意出願の登録可能性をゼロにする努力をしています。

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