2016年以降、タイのTCP Groupと中国レットブルのREIGNWOOD GROUPは多数の商標権侵害訴訟をしており、現在も続いています。このたび、4月23日に黒竜江高等裁判所が下した1億元の賠償金の判決によりネット上でも再度炎上するようになりました。
1、経緯
2016年から続いてきたTCP GroupとREIGNWOOD GROUPの商標権訴訟は浙江省高等裁判所、広州市天河区裁判所、吉林省高等裁判所、遼寧省瀋陽中等裁判所、江西省南昌市中等裁判所、黒龍江省高等裁判所等で行われました。これらの裁判所で行われた訴訟は一審訴訟であり、すべてが中国のレットブルのREIGNWOOD GROUPの敗訴となっています。タイのTCP Groupグループへの損害賠償金は4億元を超えています。
REIGNWOOD GROUPの主張
1995年TCP GroupとREIGNWOOD GROUPは「50年契約書」を締結しました。その契約によりREIGNWOOD GROUPは中国国内においてレットブル飲料の生産、販売の経営権を50年間独占すると主張しています。従って、TCP Groupは中国国内においてレットブル飲料の販売する行為は無権行為であり、中国レットブルの商標はREIGNWOOD GROUPの商標であり、上記の訴訟はREIGNWOOD GROUPの濫訴であると主張しています。かつ、上記の訴訟はすべて一審判決であり、上訴をする予定なので、既判力のない判決であると主張しています。
TCP Groupの主張
TCP Groupの主張は商標局に保存されている最終の「商標許可契約書」に契約しているレットブルに関する商標使用ライセンス期限は2016年10月6日までです。50年契約書に定めたのは中国国内でレットブル飲料の生産販売の独占経営権のみであると主張しています。
また、2020年12月21日の最高裁の判断ではレットブルの商標の所有者はTCP Groupであることを既に確認されているので、TCP Groupはレットブルの商標所有権者であることは間違いないと主張しています。
2、50年契約書の行方
REIGNWOOD GROUPは「50年契約書」に基づいて自分の権利を主張していますが、今までの裁判の過程においてその契約書の原本を提出したことはありません。しかし、2022年にREIGNWOOD GROUPは「50年契約書」原本を見つけたと主張し、広東省深セン前海合作区裁判所の「50年契約書」の有効性を確認する民事判決をもって、現在最高裁に商標権に関する再審の手続きを推進していると主張しています。
3、訴訟の最終決着はどうなる?
TCP GroupとREIGNWOOD GROUPの商標権訴訟は現在も続いています。
現在、中国各地の裁判所の一審の結果に基づき、中国の京東、天猫、ワールマット等では中国のレットブルの商品を既に棚卸をしており、市場監督管理部門も中国レットブルを販売する販売者に行政処分、警告通知をすることもあると言われています。
(日本アイアール株式会社 K・F)
【参照サイト】
- https://finance.sina.cn/2023-04-27/detail-imyrukvf4496989.d.html
- http://k.sina.com.cn/article_6745116791_1920a507700101gf73.html#/
- https://food.cnr.cn/rdjx/20230425/t20230425_526231329.shtml
- https://baijiahao.baidu.com/s?id=1764144770194181449&wfr=spider&for=pc
- https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_22846140
- https://news.ycwb.com/2023-04/23/content_51902294.htm