代理店

海外で商品を生産・販売したい時、現地の製造工場や代理店に任せる方法がよく採用されますが、商標を製造工場や代理店に勝手に登録されてしまうことがあります。

中国『商標法』第十五条には、このような代理人または代表者による抜け駆け登録に対して定めがあります。

中国の判例では?

判例を見てみましょう。1997年、日本B社と大連C社及びC社の代表者松井氏の間で「西京味噌」の製造・買収・販売に関する契約を締結し、2002年に更に提携契約を締結しました。その後、両社の間の契約が2003年に解除されましたが、大連C社が2012年4月に調味料等の商品において商標西京を出願し、2013年6月に登録されました。


2016年12月にB社と日本A社(B社はA社の販売企業)が当該商標に対して無効審判を請求しました。無効審判において、国家知識産権局は、①A社とB社が提示した契約書等は、B社とC社の間に代理関係があったことを証明できること、②A社が日本で、1949年5月に「白みそ」において商標西京白味噌、1984年2月に「みそ」において商標西京ロゴを登録しており、双方の商標が類似商品における類似商標にあたること、③C社がA社とB社の授権を得て当該商標を出願したことを証明できないことが判明したため、『商標法』第十五条に則って当該商標の無効宣告を決定しました。その後、C社が無効審判の裁定に承服せず提訴しましたが、一審と二審がいずれも代理関係を認定し、C社の請求を却下しました。

中国で商標を抜け駆け登録されないために、どのような対策が取れるのか?

ただでさえ海外進出が難しいにも関わらず、商標権が代理人または代表者に取られて紛争に陥ってしまうと、まさに火に油を注ぐことになります。では、代理人または代表者に抜け駆け登録されないために、どのような対策が取れるでしょうか。筆者の意見では、海外に進出する前に先手を打ち、自ら現地で商標を取得するのが一番確実です。商標権がある限り、主導権を握ることができます。既に代理人または代表者に抜け駆け登録された場合でも、慌てずに状況に応じて、譲渡交渉や無効審判、異議申立、不使用取消審判等の手段を講じて、抜け駆け登録を取り消すことが考えられます。


また、無効審判、異議申立等を行うために、どのような証拠を用意すれば良いか、上記判例のように日本A社とB社が無効審判を請求する際、完璧と言える証拠を用意しました。大連C社との間の契約書だけではなく、自社の日本における長い歴史の商標の状況みそに関する紹介C社との間のメール記録等も証拠として提出しました。代理契約書が一番重要とはいえ、単文孤証にならないよう、双方のメール記録や発注書、領収書等、多角的な証拠を用意することが推奨されます。また、権利者の商標の様式、商品の紹介等も商標の類否判断に有利に働くと思われます。

 

参考資料(中国商標法第十五条)

授権されていない代理人又は代表者が自らの名義により被代理人又は被代表者の商標を登録し、被代理人又は被代表者が異議を申し立てたときは、その登録をせず、かつその使用を禁止する。
同一又は類似の商品について登録出願された商標が、他人により先使用されている未登録商標と同一又は類似し、出願人は、当該他人と前項の規定以外の契約、業務関係又はその他の関係を持っていることにより、当該他人の商標の存在を明らかに知っていて、当該他人が異議を申し立てたときは、その登録をしない。

(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)

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