実は中国人はこう見ていた!ビジネスの命運分ける中国語名
今さら言うまでもないことですが、中国でビジネス展開する企業にとって、自らの社名やブランド名にどのような中国語表記を当てるかは非常に重要な問題です。特に中国の幅広い層の消費者に訴求したいと考える場合、中国人が皆英語を読めるわけではないことを考えると、意味を理解でき、より親しみを感じさせるような中国語の名称をつけることがカギとなることは確かでしょう。
中国語ネーミングの際には、元の名称の音を取る場合、意味を取る場合、更に両方を考慮する場合、とさまざまな方法があります。しかし実のところ、中国人は我々の想像以上にその「意味」を重視しているようです。2016年11月29日付の中国取名網で挙げられている例を参考にしながら、我々にもなじみのあるグローバル企業の中国語名が中国人にどのような印象を与えていたかを見てみましょう。
IKEA(イケア)の中国語名はどのようなイメージなのか?
スウェーデンの家具・雑貨量販店であるイケアは中国の主要都市に店舗を構え、中国人にとっても身近な存在(休日には多くの中国人ファミリーがイケアの展示品であるベッドやソファに寝転がって寛いでいる光景が見られます)。中国語名は「宜家(イージャー)」と言いますが、これは家庭や夫婦の円満を表す中国語を思い起こさせ、人々の生活に密着した商品を販売する上で非常に印象のよい名前だそうです。
同じような理由で、フランスのスーパーマーケットであるカルフールの中国語名、「家楽富(ジャラフ)」もよいネーミングであると言えるでしょう。
もちろん、業種によって、より印象がよくフィットする名前は異なるもの。例えば金融業の場合はどうでしょうか。ゴールドマン・サックスの中国語名は「高盛(ガオシャン)」。元々パートナーの名前の音を取ったものでしたが、中国語では「大繁盛」を意味し、結果として金融業としては非常に縁起の良い名前となりました。化粧品メーカーのエスティローダーは「雅詩蘭黛(ヤシランダイ)」というネーミング。音がそこまで近似している感じはなく、また覚えるにもやや長い名前ですが、この名称、中国の古典に出てくるような清楚で優雅な印象の美女を想起させるため、化粧品ブランドとしてはぴったりのネーミングです。
また、折角の高級ブランドが英語名だとそこまで中国人の目を引かなかったものの、巧みな中国語のネーミングにより、高級感をより強く印象付けたケースもあります。
例えば、ドイツのBMWは「宝馬(バオマ)」という中国語名で知られています。≪三国志≫の注に引かれている≪曹瞞伝≫に「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」(非常に優秀な人物という意味)という成語があるように、「宝馬」という言葉は、古代の人間が馬を駆って野山を走り回ったが如く、自動車が新たな時代の「馬」であることをイメージさせる言葉です。音を活かしつつ、中国の伝統文化に基づく重厚さを意識させるようなネーミングを行った好例であると言えるでしょう。
中国語ネーミングは非常に奥が深いものです。これからもさまざまな例をご紹介していきたいと思います。