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泥仕合ばかりではない?ダイムラーと奇瑞汽車がブランド名称の使用に関し平和的解決

中国において外国企業と国内企業の間で知財訴訟が頻発しており、泥沼の様相を呈することもしばしばあるのは皆様ご存知のところでしょう。しかし、稀に平和的な解決に至ることもあるようです。このほど話題となった、独ダイムラーと中国の奇瑞汽車のブランド名使用に関する和解を、中国のポータルサイト捜狐は「国内外の自動車企業が知的財産について和解した初のケース」と報じています。

ダイムラーはメルセデス・ベンツの電気自動車(EV)の新ブランドを「EQ」と命名し、2018年にはドイツで正式に量産に入ることを決定。2016年には商標の国際登録出願を行いました。
ところが中国の奇瑞汽車が2014年11月にリリースしたEVのブランド名も「奇瑞eQ」で、2015年7月には中国で商標登録済。このため奇瑞汽車は、ダイムラーの「EQ」商標出願に対し、自社の「奇瑞eQ」商標と類似しており、指定商品も同一であるため、自社の商標権を侵害し、商品の出所について消費者を誤導するとして異議申立てを行ったようです。さらに2016年12月には「EQ」の商標出願を行い、2017年1月には実体審査に入るなど、ダイムラーに対する対抗措置を進めてきました。こうした動きからメルセデス・ベンツの「EQ」シリーズが中国で展開されることはほぼ不可能と思われてきましたが・・・。

2017年7月6日、ダイムラーと奇瑞汽車はそのブランド名称の使用について合意に達したと宣言。具体的には、ダイムラー側は「EQC」というように「EQ」の後に英文字を加えるかたちでブランド名称を展開し、奇瑞汽車は「eQ1」というように「eQ」の後に数字を加えるかたちでブランド名称を展開していくという内容です。また、ダイムラーは今後、奇瑞汽車が「eQ」ブランドの名称をグローバル展開することに同意。さらに奇瑞汽車側もダイムラーが中国市場で「EQ」ブランドを展開していくことに同意しています。

ダイムラーの大中華区業務責任者であるTroska取締役は、「奇瑞汽車のeQブランドは中国で高い評価を得ており、我々としてもそれを非常に尊重している。我々2社が「EQ/eQ」の使用について合意に達することができたのは非常に喜ばしい。我々は、中国、さらに全世界において、自動車産業におけるEVの発展を促進しようという意識を共にしている。」と語りました。

また、奇瑞汽車の陳安寧総経理は、「弊社は創業以来、イノベーションと国際化を堅持しており、技術と知的財産権についても十分な成果を上げていると自負している。EVブランドにおいてダイムラーと世界的に共存するという合意に達することができたことは嬉しく、我々は今後も独自のブランド価値をグローバル市場に提供し続けていく。」と述べています。

中国の報道からは上記のような極めて限られた情報しか得られないため、両社が合意に達するまでに何があったのかは定かではありませんが、知的財産権について戦い続けるよりも、協力関係を築くことにそれぞれが事業戦略上の大きなメリットを見出したことは想像に難くありません。是非本件の背景をもっと詳しく知りたいと思うところです。

(日本アイアール株式会社 A・U)

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