中国においては、『区分表』の規定に基づいて商品・役務の類否を判断するのが基本です。

しかし、異議申立の不登録決定に対する不服審判や無効審判請求の審査において、必ずしも『区分表』の規定に従い判断するのではなく、商品・役務の機能、用途、販売・宣伝ルート、ターゲット顧客等における関連性、または、併存した場合、混同を生じさせるか否か等についても考慮するのが一般的です。『区分表』の規定では類似ではない商品・役務でも、類似商品・役務と判断されることがあります。

では、どのような条件を満たした場合、『区分表』において、類似ではない商品・役務が類似と判断されるでしょうか。判例を見てみましょう。

判例を見てみましょう

無効審判請求人A社が、第19類「非金属製プール」等の商品におけるマドプロ登録「ASTRALPOOL 引用商標」(以下は「引用商標」という)及び同図案の著作権を根拠に、B社が第28類「プール(娯楽用品)」において登録した商標「ASTRALPOOL 係争商標 」(以下は「係争商標」という)に対し、無効審判請求を提起しました。

無効審判請求において、A社は、係争商標の出願日前に引用商標を使用し始めたことプールにおいて引用商標が既に高い知名度を有していることを立証したほか、B社が明らかに引用商標の存在を知っていることも立証しました。

審理の結果、国家知識産権局は「係争商標と引用商標の指定商品の区分が異なる(第28類VS第19類)にも関わらず、双方の商品(プール(娯楽用品)VS非金属製プール等)の機能、用途、使用場所、使用対象等が似ているため、密接な関連性のある商品に該当する」という意見を述べ、「係争商標と引用商標が密接な関連性のある商品における類似商標にあたる」と認定し、係争商標の無効を決定しました。

無効審判請求等の案件の審査において

前述のように、無効審判請求等の案件の審査において、『区分表』の規定のほか、商品・役務の関連性や混同の可能性等も考慮されます。商品・役務の関連性については、無効審判請求等の請求人は、通常、商品・役務の機能や用途等が似ていることを論じますが、その類似性だけで密接な関連性のある商品・役務と認定されるわけではありません。混同・誤認を生じさせやすいレベルに達しており、両者の間に特別なつながりがあるか否かが疑われるものに限り、密接な関連性があると認定される可能性があります。


また、先行商標の知名度も類否判断に影響が及びます。先行商標の知名度が高ければ高いほど、密接な関連性のある商品・役務における類似商標に認定されやすいです。請求人としては、商品・役務の関連性に着目するだけではなく、積極的に先行商標の使用証拠を提供することで知名度を立証することをお勧めいたします。

 

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