「台柳路」と聞いてピンと来る人はよほどの中国通の方だと思うが、中国・青島市の繁華街に位置する台柳路は、清の時代に自動車道路が開通したことで知られる地。
中国全土で見ても最も早期に開通された自動車道路の1つということで、青島市はこれをいわゆる「町おこし」のシンボルとすることに決定、「台柳路1907」を商標登録して万全の備えを取っている。
2019年1月31日付の澎湃新聞によると、青島市中心部に位置する台柳路は中国自動車道路発祥の地と言われており、1907年の開通以来、100年以上の歴史を有する。
台柳路から30キロあまり続く道路は、青島市のみならず山東省、ひいては全国でも最も早期に開通した道路の1つで、「中国初の自動車道路」と称されている。
今はすっかり都市化が進んでいる台柳路周辺だが、市は上記のような文化的背景を踏まえ、市の発展のシンボルとすることを決定。2018年5月に「台柳路1907」を商標登録出願した。
中国商標網で検索したところ、青島市市北区新都心開発建設弁公室が出願人となって出願されている「台柳路1907」の指定区分は20区分に上り、幅広い商品やサービスに「台柳路1907」ブランドを浸透させていこうという意図が見て取れる。
青島市は2018年2月に「第1回台柳路1907文化節」を行っているため、その前に商標を出願しておけばなおよかったと思うが、このイベントの感触を見て将来的な「台柳路1907」のブランド戦略を決定した可能性もあるので、十分迅速に手当てをしているほうだと言えるだろう。なお、報道では2019年1月13日に登録とされているが、これは正確には初審公告日であるため、3ヵ月の異議申立期間を残していることになる。
なお、今回は商標コラムもたまたま地名に関わる話であるが、中国の地名で商標登録が原則として認められないのは県クラス以上の行政区画の地名であるため、「台柳路1907」の場合は該当しない。
日本でも「~~発祥の地」は多く存在するが、それをアピールポイントにする際の商標出願戦略はどうなっているのか興味の湧くところだ。
(日本アイアール A・U)