2019年12月から、新型コロナウイルス(以下、「新型コロナ」をいう)の感染拡大が中国に続き、僅か数十日の間に、新型コロナに関わるニュースが相次ぎ、世界中で話題になりました。
中心となる武漢市の感染者が大勢いる中、医療設備不足を解消するため、政府は重症急性呼吸器症候群(SARS)が大流行した2003年に北京郊外に建設された「小湯山病院」をモデルにし、武漢市に「火神山」と「雷神山」病院を1週間あまりの超突貫工事で完成させ、世界を驚かせました。
他に、抗ウイルス薬「瑞德西韦(REMDESIVIR)」の効果が期待され、関連研究の進捗が注目されています。また、医療関係者として内部告発した最初の数人のうちの1人として、医者の「李文亮」が新型コロナの犠牲者になり、大勢な国民が自発的に追悼をしたことなどが、世界で報道されていました。
そうした中、2月3日から、「火神山」、「雷神山」、「瑞德西韦」、「新冠(新型コロナウイルスの中国略語)」を含めた標識が次々に商標として出願されました。
2月27日に公開されたデータによれば、2月3日から2月25日まで、「火神山」商標が32件、「雷神山」商標が16件、「瑞德西韦」及び「REMDESIVIR」商標が35件、「新冠」を含める商標が18件出願され、医薬品、医療用機械器具から飲食物、宿泊に亘る商品・役務をカバーしています。短い間で、新型コロナに関わる商標出願も話題になり、業界内において論議となってきました。
このような中、中国国家知的財産権局の商標審査部門は2月7日に『新型コロナに関わる商標に対する審査の指導意見』を下し、非正常な商標出願行為に対し、関連法律に則って、迅速に厳しく取り締まる方針を定めました。
新型コロナに関わる商標の審査は、いくつかの『商標法』の条例に関連しています。
例えば:
具体的に考えると・・・?
- 新型コロナに関わる商標が短時間で大量に出願されることは一見で非正常な悪意の出願に当たりますが、中に本当に悪意のない権利者による出願があるかもしれませんので、出願人情報や、出願商標の数などの情報を総合的に分析した上で慎重に判断すべきと思われます。
- 他に、「新冠」を含めた商標等が悪影響を及ぼすおそれがあるため、『商標法』第十条の適用が考えられます。
- 「火神山」と「雷神山」が今回の新型肺炎のために建設される病院の名前で、「瑞德西韦」と「REMDESIVIR」が新型肺炎の薬の名前ですので、『商標法』第三十二条の適用が考えられます。
現在では、中国国家知的財産権局は新型肺炎に関わる商標に対して厳しく審査を行っています。最初に提出された63件「火神山」、「雷神山」、「鐘南山」等の悪質出願はすでに却下されました。これら非正常出願の代理をした代理機構に対しても、機構名称を公開した上、『商標法』に則って罰金を科しました。今までこのような商標が1000件近く出願されており、全部まだ許可されていません。
(北京恵利爾商標代理有限責任公司)