「拼多多」が中国の知的財産界で論争を引き起こす
「拼多多」は、中国の新興ECプラットフォームで、成立してからのわずか3年間で、上場企業になり、大きく注目された。ところが、「拼多多」で通販された商品の中に、権利侵害に該当する模倣品が多いため、上場の初日、中国の各マスコミプラットフォームで、激しい論争を引き起こした。
『今回の「拼多多」の件は面白い現象だ。中国が急速な発展をしている背景のもと、一部の新たな分野とモードにおいて、いかに知的財産権を保護するかを、世界各分野に考えさせ、討論させるいいきっかけにもなる。』と中国社会科学院法学研究所研究員の李順徳氏が言う。
同氏の話によれば、一部の言論が極端すぎて、『「拼多多」で通販された多くの商品は有名ブランドではなく、安価の商品であり、一部の消費力の低い人を満たしたため、市場があるのだ。しかしその一方、通販された商品の中に、確かに他人の知的財産権を侵害する模倣品と行為が存在していることも事実だ。だから今回のことを客観的に見るべきだ。一部的には非合理な行為が存在するって、「拼多多」のビジネスモデルを全般に否定するのは間違っていると思う。』
高域知能研究員特許運営専門家の王琦琳氏は、
『消費がグレードアップしているとはいえ、中国の現状では、やはりいわゆる「ブランド」の付加価値に無関心で、安ければそれでいいという人はまだまだいる。「拼多多」はまさにそういうターゲットに狙っている。この角度から見ると、「拼多多」の存在はより多くの人にインターネットの観念を受け入れさせた、という大きな価値があるではないか。』と述べている。
王琦琳氏の意見では、道徳の面から「拼多多」の模倣品販売を批判するのは簡単だが、実際に権利保護をしようとする場合、権利者が起訴・摘発したら、「拼多多」がECプラットフォームとして、その権利侵害に関わる商品の通販リンクを削除すればいいだけの話だ。それに、多くの場合、権利侵害者の規模が小さく、権利擁護のコストが高く、賠償額が低いのが原因で、模倣品を買った消費者と侵害された権利者は行動を取らないのは一般的である。これはECプラットフォームで知的財産権を保護しにくい主な理由ではないかとのことである。
しかしそれは知的財産権利を侵害する理由にならない、安い商品の提供は他人利益への侵害を代償にしてはならないと、李順徳氏は強調している。『模倣品販売の現象は多くのECプラットフォームに存在している。総じて言えば、ここ数年、われわれは随分と進歩している。「拼多多」のようなECプラットフォームが現れたのは、より強力な監査が必要だとわれわれに注意させている。』
また同氏は、監査を強化するほか、消費者と権利者も知的財産権保護への意識を強化するべきだとも述べている。消費者としては、模倣品だと知っていながら買ってはいけない;権利者としては、権利侵害行為を発見したら、適切な手段をとるべきだ。もちろん、知的財産権の保護を重視させる社会環境を築くのに、関係部門の引率は不可欠である、としている。
なお、自社のプラットフォームに模倣品が存在していることについて、「拼多多」の創始者である黄崢氏はマスコミに対しこう回答している。
『TAOBAO(ALIBABA集団に所属する中国の大手ECプラットフォーム)の経験した苦難は「拼多多」の成長の道に、ひとつも欠けることはない。ECプラットフォームにおける権利侵害行為への管理は、時間のかかるものだ。』
黄崢氏が言うように、TAOBAOの歩んだ道は参考の価値がある。
ALIBABAの発表した『2017年ALIBABA知的財産権保護に関する年間報告』によると、2017年の1年間、24万軒の権利侵害容疑のあるTAOBAOショップが閉店された。TAOBAOに出店する権利者が同年比17%増加した背景のもと、権利侵害行為へのクレーム案件数が42%も下回ったのである。
また、2017年年末に至るまで、ALIBABAは全国23省で関係機構と協力し、権利侵害に関する手がかりを1910個も提供し、容疑者を1606人も逮捕し、偽造拠点を1328個も摘発している。
(北京恵利爾商標代理有限責任公司)