中国商標における口頭審理

【中国商標実務レポート】中国商標評審案件の口頭審理について

中国ではこれまで商標の評審案件が書面審理の方式で行われてきましたが、市場環境は日々複雑になってきており、これまでのプラクティスである書面審理だけでは多様化した評審ニーズを満たせなくなっています。また、案件の複雑化や、証拠資料の形式の多様化等も進んでおり、案件の審査において証拠の信憑性、合法性及び関連性に対する認定はより厳しく求められています。そこで、口頭審理の必要性が高まってきています。

さて、ここで質問です。 商標評審案件の口頭審理とは何でしょうか?

2014年『商標法』改正に伴い、『商標法実施条例』第六十条には「商標評審委員会は、当事者の請求又は実際状況によって評審案件の口頭審理を開くことができる」と規定しました。

商標評審案件の口頭審理は書面審理と異なる審査方式であり、書面審査に対する補足です。国家知的財産権局商標評審委員会は商標の評審案件を審査する際、書面審査を行うのが一般的ですが、審査に必要な場合、当事者の請求又はその職権によって口頭審理を開くことができます。『商標評審案件の口頭審理方法』の規定によって、口頭審理は商標評審委員会の主催で開き、案件の当事者が審査現場で関連証拠について反対尋問を行うことによって、証拠の効力を認定し、事実を明らかにします。特に案件経緯が複雑な場合、審理の公平を保証することができます。

このような背景の中、関係法規、設備・場所施設等の完備に伴い、商標評審案件の口頭審理が行われるようになりました。

商標評審委員会が最初に行った口頭審理は、2017年8月21日に付け開かれた「高麗紅蔘」商標拒絶決定に対する不服審判請求案件と、2017年8月25日に付け開かれた「BOLIMO」、「搏力谋」商標に対する無効審判請求案件でした。当該口頭審査において、当事者は充分に意見を述べることができ、口頭審査のメリットが発揮される結果となりました。口頭審査のプラクティスとしては良いスタートになったと言えるでしょう。

商標評審案件においては、書面審理をメインにし、必要な場合に補足として口頭審理を行うようになれば、社会に注目される問題や、法律関係が複雑な案件を処理する際に、積極的に公衆からの取り締まりを受け止めることができ、当事者の合法的権利を保障できます。同時に、案件の経緯・事実がより正確に判明することが期待できます。

2017年から、商標評審案件の口頭審理が次々と実践され、経験が蓄積されていくと共に、関連制度、設備も改善されています。そのため、条件が完備すれば、地方においても商標評審廷を設置することが検討されています。最近では、国家知的財産権局商標局の商標評審廷が上海商標審査協力センターで、「沪江」、「沪江网校」、「沪江英语」及び「上海故事」商標の無効審判請求案の口頭審理を行いました。報道によると、これは商標評審案件の口頭審査方式が2017年採用されて以来、初めて地方で行われたということです。今後も、商標局は他の地方で選択的に口頭審査を展開し、長期的な制度として推進する予定です。

(北京恵利爾商標代理有限責任公司)

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